庵治石のトラブル例

庵治石がお墓に最適な性質を持ちながら、同時に高価な原因にもなっている「傷やカサネ」の多さ。ここでは実際に建てられたお墓で見られた、庵治石の傷やカサネのトラブル例をご紹介します。(このようなトラブルが多くありますので、慎重にお店選びをしてください。)

傷は石の成分の裂け目、もしくは外的要因によってヒビ割れているトラブルです。

【傷のトラブル例1(上台の角部分)】

【傷のトラブル例2(上台側面の上部分)】

注:傷があると、お墓の見栄えが悪くなるだけではなく、水を吸い溜め込みやすいので、傷が広がり、致命傷になる可能性があります。

カサネ

傷は石の成分の裂け目、もしくは外的要因によってヒビ割れているトラブルです。

【カサネのトラブル例1(上台側面の角部分)】

【カサネのトラブル例2(下台側面の角部分)】

注:カサネは年月が経つと、ちょっとした衝撃で割れてしまう可能性があるので必ず避けたいものです。

【カサネで真っ二つに割れた石】

ご紹介したどの庵治石の傷やカサネも、熟練した、精通した石材業者でなくては完全な排除は出来ません。庵治石のお墓づくり=石材業者選びと言えると思います。

庵治石の価格について、よくいただくQ&A

庵治石に関する、よくある質問を集めました。

Q:庵治石はまだ採れているの?

A:はい。採れています。
埋蔵量や、採掘量の具体的な数値は分かりませんが、今と昔とでは方法も道具も大きく変わってきていますので、年間に採掘される量は増えています。そのため私が石屋を始めた30年前より山の姿が大きく様変わりしたのは間違いなく、写真を見ると一目瞭然です。しかし、これからは安全面や環境保護を無視して採掘を続けることは出来なくなると思われますので、そういう意味では採掘量は次第に減っていく方向に向かうのではないでしょうか。埋蔵されている量は、少なくとも数年で無くなってしまうような量ではありません。

Q:庵治石のお墓はどうしてこんなに高価なの?

A:まず言えるのは、原材料である原石の価格が大変高価であるということです。(採掘業者間での価格の幅はあります)庵治石以外にも、肩を並べるほど高価な石はあるのですが、それほど多く流通していない為かあまり話題にのぼりません。庵治石は有名になったが故に高価であることも知れ渡りました。更に採掘される原石のうち、石塔に使用できるのは、ほんの少しと言われているからです。
庵治石は傷の多い石でもあります。庵治石の魅力に「斑」といわれる独特の石目模様と、青みを帯びた灰色の「石目」がありますが、この二つの特徴を兼ね備えた石ほど傷が多いようで、このことは実際に加工していて実感します。
山から切り出した原石が、どこをとっても金太郎飴の状態というわけにはいかないのが、採掘業者にとっても加工業者にとっても悩みの種です。傷をいかに排除して石塔に仕上げていくかは、その加工業者の技量とポリシーに大きく左右されます。つまり、加工段階では見つけられない小さな傷は別として、分かっている傷を「これくらいなら・・・」と妥協してしまえば、それだけ歩留まり(原材料に対する製品になる割合)が良くなり、逆にどのような傷も見逃さず確実に排除していくと、歩留まりは大変悪くなり、結果最終的に価格に反映されてしまいます。
元々原石の段階で価格が高い上に、歩留まりが悪いと余計に割高になるという事がお分かりいただけると思います。また、傷以外の排除の対象は「カサネ」「赤(錆を多く含んだ部分)」「黒玉」「白玉」「ナデ(帯状の模様)」などがあります。

そしてもう一つ、石の模様があります。庵治石は同じ採掘業者が採掘した石の中でもたくさんの種類があります。少し白い、少し黒い、班が大きい、小さい、ナデがあるかないかなど。その中で石塔の上から下まで石模様を揃えるのは大変なことです。よほど管理を厳しくしないと「どの部材も綺麗なんだけど、どれも石目がバラバラ」という状態になりやすいのです。そのため、一組の石塔を完成させるのに何組も制作することはよくあり、同じ寸法、同じ形の場合は違う組み合わせに使えることもありますが、特殊な寸法であったり、機会の少ない寸法などの場合、長期の在庫、もしくは不良在庫になったしまう可能性もあるのです。

まだあります。加工技術です。これは百件の加工業者があれば百通りの技術レベルがあります。どの加工業者も自社の加工技術が最高だと思って作っていますが、その気で見るとはっきりと差があります。石塔の加工にはまだまだ手作業の部分も多く残されていて、機械化しにくい工程は職人がコツコツと根気よく作業を行います。程々ではなく、レベルの高い加工技術で仕上げると、必然的に時間はかかりますし、コストもかかります。これは石の加工に限らず、どの業種にも言えることです。
これらが、庵治石の石塔が高価になってしまう要因の大部分です。

Q:最近は偽物も多いと聞きますが・・・。

A:偽物の話はよく耳にします。事実、紛らわしい表現や表示のものも増えてきています。
まず名称ですが、庵治石を使用した石塔は「庵治石」という産地特有の石の種類を示した言葉に「細目や中目、または中細目」など、石の細かさを表した言葉が付いているのが一般的です。本物の庵治石を扱っている業者は、石の種類を示した名前に「××庵治」など、庵治石の名前の前に余分な名前をつけたりはせず、堂々と「庵治石」とシンプルに表示しているはずです。「どこかの地名+庵治石」とか「赤とか黒とか色を示した言葉+庵治石」とかいう名前を本物の庵治石には使っていないと思われます。
庵治石には今迄にずっと語られてきた特有の魅力があります。それは斑といわれる独特な美しい石目模様であったり、秀でた硬さであったり、彫刻をするときの粘りであったり、永く艶が保たれる事であったりします。その魅力が強ければ強いほど、偽者といわれるものが現れてきます。いわゆるブランド物を例にとるとよく分かると思います。多くの人が欲しい物ほど出てきやすいものです。

ではどうすれば本物と偽物の見分けがつくのでしょうか。
一番確実なのは、現地で採石している段階から見てみるという方法です。また、工場での加工にも立ち会えれば、さらに確実なものになると思います。高価な買い物ですので、この方法は少し前までは普通に行われていました。これは費用と時間がかかりますが、大変確実な方法です。しかし、すでに製品になった状態で検討されている時にはこの方法はとれません。その時には販売業者を通じて、採掘業者、加工業者に証明書もしくはそれに準ずるものを発行してもらうという方法もあります。