庵治石の特徴

庵治石の年間産出量は約300,000トン(2003年現在)ですが、実際にきちんとした製品になる割合は1%(3,000トン)と言われています。
それは他の山に比べて、不純物の混ざった「層」と「層」の間隔が非常に狭くなっていることにより使用できる部分が少ないうえ、その使える部分にも傷が多く、カサネも多い。しかも錆びて赤い部分も多いからです。それらをしっかり、1つも逃さず、よけて作るのが私たちの最大の仕事のひとつです。

「傷」とは

お墓を制作する過程で必ず避けなければならないの障害の一つである「傷」とは、石の成分の裂け目、もしくは外的要因によって「ヒビ割れている部分」をいいます。

「傷」にはいくつか種類があります。
・採石場での発破作業などによる「傷」
・石同士の接触による衝撃でできた「傷」
・そして最も発見しにくい、石そのものに元々含まれている極小の「傷」これは細い糸か、髪の毛くらいの細さがほとんどです。

では、なぜこのような「傷」を避ける必要があるのか。単に「完成時に見栄えが悪くなる」「縁起が悪い」ではなく、一番の理由は「傷」は水を吸い、溜め込みやすいからです。
屋外にあるお墓は雨が降れば濡れ、晴れれば乾燥し、暑い日には高温に、寒い日には水分で凍りついたりします。そのような環境で、お墓にとって「傷」は致命傷なのです。ホコリや鉄分などの汚れを含んだ雨水を「傷」が吸収乾燥を繰り返していれば、その部分の汚れはひどくなり、錆が出たりします。更に最悪の場合、乾燥しないまま凍結すれば、その部分が膨張し、欠けたり割れたりするためです。

「カサネ」とは

どの石種でも、墓石に使用される部分は「不純物の混じった層」と「層」の間の、墓石に使用できる成分の場所から採掘されます。その「不純物の混ざった層(成分の境目)」のことを「カサネ」と呼んでいます。
庵治石の「カサネ」は概ね白く、鉄分を含んだ赤茶色や、緑色の斑点が多く付いています。厚みや大きさ、見え方などさまざまですが、比較的発見は容易です。
しかし、この「カサネ」も「傷」と同じく、そのまま排除されずに墓石を完成させた場合、時にはそれに沿って点々と、もしくは線になって錆が発生します。大きな「カサネ」の場合は、ちょっとした衝撃でそこから真っ二つに割れてしまう可能性もでてきます。

【カサネで真っ二つに割れた石】

どうして特に庵治石には「カサネ」に注意が必要なのか。それは庵治石の「層」は、他の石種よりも間隔が狭く、使用できる部分が非常に小さく限られているからです。

更に、その中から綺麗な石目の部分だけを使うとなると、より一層選択、制作は難しくなり、どうしても「カサネ」ギリギリにになってしまうのです。

もしも庵治石のお墓に、赤茶色の点々の連なり、もしくは黒色(灰色)の線がいくつもの面につながって見える場合は、排除しきれていない「カサネ」の可能性があります。

以上の「傷」と「カサネ」の二つは、場所、方向、深さの見極めに細心の注意が必要です。実際に、せっかく庵治石のお墓を建てたのに、傷やカサネが取り除かれていないために支障が生じられる方も多くいらっしゃいます。

私どもでは細心の注意を払って、この「傷」「カサネ」の排除を徹底し、より高度な技術で加工を施しているため、庵治石に関して創業以来ノークレームです。また、お客様に少しでもご安心頂くために、制作時のメール配信サービスも行っております。(ご希望の方はお申し付けください。)